株式会社スミレナ
顧客の悩みどころを掴んだ設計思想に
信頼感が湧いた
東京ガス発のベンチャー企業として2019年12月に誕生した株式会社スミレナ。東京ガスグループで長年培われてきた住宅設備や施工に関する知見・経験を活かし、ガス機器・水回りを得意とするリフォーム会社として関東圏を中心にサービスを展開している。
最大の特長は、リフォームの相談、見積り、注文までが全てオンラインで完結すること。「メールやLINEなどを使って自分の都合の良い時間に相談ができる」という手軽さと「お客さまに徹底的に寄り添う親密さ」を兼ね備えたサービスが好評を博し、仕事もプライベートも忙しい40代〜50代を中心にシェアを広げている。しかし、受注件数が増えていくなかで既存のシステムでは業務処理に限界を感じ、2021年10月に『kintone』を導入したという。
『kintone』を導入したことで以前よりデータの処理は回りやすくなったが、あくまでも既存のシステムを引き継いだ仕様であり、課題の根本解決には至らなかった。そこで、業務改善のヒントを探すために2021年11月に開催された『Cybozu Days 2021 東京』に参加。このイベント会場で出会ったのがバーズ情報科学研究所の『mojula』だった。『mojula』導入の経緯、活用、展望などについて、株式会社スミレナ 経営企画部 部長 大橋 雅史氏、同部 戦略推進グループ 鶴岡 美緒氏にお話を伺った。
顧客の悩みどころを掴んだ設計思想に
(鶴岡氏)
「私達の業務では手書きの紙媒体を扱う機会はほとんど無く、パソコン上で作業が完結しています。しかしPDFの見積書を目視で確認して『kintone』に転記するという、業務工数の高い作業が多く発生していました。実際に転記作業を行う業務委託社員からも自動読み取りのニーズが高かったので、この課題を解決できるツールを探そうということでイベントに参加しました。」
(大橋氏)
「『Cybozu Days 2021 東京』では各社のAI-OCRサービスを見ましたが、プロダクトアウトなサービスが多いと感じました。そんな中で偶然見つけたバーズさんの『mojula』は、顧客が悩んでいるところをしっかりと掴んでいると思えたのです。そして、ここならチューニングを含めて頼りになりそうだと感じて声をかけさせて頂きました。」
PDF形式の見積書を目視で確認して転記する作業が発生していたが、『mojula』導入により作業の多くが自動化。読み取り・補正結果をkintoneアプリに直接登録する機能も搭載されているため、運用の動線がシンプルになり、作業工数だけでなくミスの削減にも繋がる。
直感的に操作ができるから
誰でもすぐに使いこなせる
『Cybozu Days 2021 東京』出展時、『mojula』は必要な機能を絞り込んで搭載した最初のバージョンとしてリリースされており、様々な利用場面を想定した追加機能を次期バージョンに搭載すべく、開発順を検討している段階だった。イベントでスミレナ社に声をかけて頂いた縁から、実際の現場での使用感についてフィードバックを頂き、現場での使用に適した機能を優先して追加開発が行われた。
スミレナ社では社長、大橋氏、鶴岡氏の3名の意見をもとに2022年5月から『mojula』が導入されたが、導入の決め手について鶴岡氏はこう述べる。
(鶴岡氏)
「私達のセールス業務では書類を扱わず、パソコンのモニターのみで作業しています。そのため、ウインドウを開いたり閉じたりしているうちに『どこを見てたっけ?』となることがよくありました。『mojula』は手書きの画像と編集画面を両サイドに表示できて、画面を切り替えることなく読み取りの差分を修正できるのがとても便利で、この操作性の高さが導入の一番の決め手になりました。」
『mojula』編集入力画面の表示例。FAXやスキャナで取り込んだ帳簿イメージデータとAI-OCRが読み取った編集画面を並べて表示できるので、文字の修正も簡単に行える。『mojula』と連携可能なAI-OCRエンジンには市場シェアNo.1のAIinside社製『DX Suite』を採用しており、帳票の自動仕分け、傾き補正、高精度の手書き文字認識で確実に文字化できる。
AI-OCRの活用が期待される場面として、FAXなどのアナログの情報が入ってくる現場が考えられるが、このような現場にはITに不慣れな方も多いことが予想される。開発のプロジェクトマネージャー・宮原は“AI-OCRサービスを誰でも使いやすい形で提供する”ことを目標として掲げ、必要な機能だけを並べてシンプルにまとめたUIを設計した。
また当初の『mojula』の設計では、CSVファイルとして出力した読取・補正の結果を、元々転記していたkintoneアプリにインポートするという運用方法を検討していた。しかし鶴岡氏からの「その手間も業務フローとしてはスムースではないので改善したい」というご要望を受けて、『mojula』からお客様が既に使用しているkintoneアプリへとボタン一つで直接登録できるように追加開発。kintoneアプリとの直接連携を標準機能として搭載した。
『mojula』管理画面の表示例。誰でも直感的に操作できるような、シンプルで使いやすいレイアウトが特徴。
帳票の転記作業には
『mojula』の活躍が期待できる
(鶴岡氏)
「もともとは見積書の転記を効率化するために導入した『mojula』ですが、現在は請求書の処理にも活用しています。以前は、毎月紙で届く請求書に記載されている数百個の請求項目を目視で確認して値の比較をしていました。しかし現在は『mojula』を活用することで、項目をCSVの値としてデータ化することが可能になり、比較処理が簡単になりました。これから業務改善サイクルが回るにつれて、さらに活用シーンが増えると思っています。」
現場から届く「業務が圧倒的に楽になった」という声に可能性を感じているという鶴岡氏。新しいことへチャレンジするための部署から誕生した『mojula』は、“ユーザーから頂いた意見であったら良いと思えるものは全てやっていく”という発想のもと、さらなる使い勝手の向上を目指して改良を続けている。
右から
株式会社スミレナ
経営企画部 部長 大橋雅史様
同部 戦略推進グループ 鶴岡美緒様
株式会社バーズ情報科学研究所
事業開発室 プロジェクトマネージャー 宮原崇之
同室 次長 佐藤潤
株式会社スミレナ
かんたんAI入力サービス mojula